なぜ口の中の写真を撮るの??
2010.03.19 (Fri)
おととい17日(水)の夕方から、医院を大先生に任せて、新潟へ勉強に出ました。

月一回の歯科の勉強会へ参加するためです。

翌18日に新潟県歯科医師会の会員発表会を控えており、今回の勉強会はそのリハーサルも兼ねていました。

発表される先生方の素晴らしいプレゼンに感動しました。


特に、「きちんと治療の記録を残すこと」の大切さを強く感じました。

当院でも治療の記録として、カルテや検査結果、レントゲン写真などを保管しています。

しかしそれだけではなく、お口の中の写真も患者さんに撮らせてもらっています。

患者さんの中には、きっと「なんで歯医者さんで口の中の写真を撮るの?」と疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。

数分とはいえ時間もかかりますし、唇を引っ張ったり大きな鏡を口の中に入れたりするのは苦痛だと思います。

患者さんにはとても申し訳ないと思っています。けれどこれは非常に大切なことでもあります。


患者さんにつらい思いをさせてまで(そんなにつらくないことの方がおおいですが)写真を撮るのは、まず第一に患者さんにその写真を見ていただくためです。

口の中は暗いので、鏡で見ようとしても奥のほうは見えづらいですよね。

ところが専用のカメラで口の中を撮ると、奥のほうまで、細かいところまで明るく鮮明に写ります。

それを見ていただいて、まず口の中の状態をよく理解していただくのが、健康を守っていく第一歩です。


第二に、治療をする側(つまり僕たち)のレベルアップのためにも必要だということがあります。

この世の中には、完璧な人間というのはいません。完璧なお医者さんもいません。

とくにレベルが高くて「神の手を持つ」といわれる先生ほど、常に向上心をもって、自分の仕事を反省し改善していると聞きます。

どんな仕事でも、自分は一番だ、もうこれ以上はない、と思ったら、きっとその人は衰えていくのでしょう。

患者さんのお口の写真を撮り、それを保存し、振り返って反省し、検討し、次の治療はさらにより良いものにしていく。

それを繰り返していくことで、僕のような未熟者も、いつかは名医と呼ばれるようになるかもしれません。

しかし毎日の仕事に追われ、反省も検討もなく漫然と日々をすごしていても、おそらく劇的な上達は望めないでしょう。

正直に言うと、僕はそれをとても恐れています。自分が若いだけに、まだ至らない点が多いだけに、無駄に日々を過ごすことがとても怖いのです。


結局のところ、医療は全部患者さんのためにあります。

患者さんに健康になってもらい、幸せに人生を送ってもらうことが最も大切なことです。

そのために、患者さんに自分のお口のことをよく知ってもらいたいと思います。

そして治療する側の向上も、いずれは患者さんの利益になります。

医者だけが儲けるための医療なら、僕は情熱をかけてやる意味を見出せません。
たぶんやる気がでなくて全然儲からないでしょう今も儲かってないですけど


なんだか綺麗ごとを言っているようですが、これは本当です。

熱心な先生ほど患者さんのお口の写真を撮ります。写真をいくらとっても、経済的な見返りはほとんどありません(むしろコストが高くつく)。患者さんからは嫌がられます。それでもやっています。

僕も先輩方を見習って、質の高い写真をたくさん残していきたいと思います。

もちろん拒否される患者さんに無理強いはしませんが、申し訳ありませんとお許しをいただきながら、できるだけ写真は撮り続けます。

写真は保存してありますので、もし写真を見てみたいという患者さんがいらっしゃいましたら、いつでもおっしゃってくださいね。

↓普通に鏡を見ただけでは、奥のほうは分かりません
CIMG5360.jpg

↓専用のカメラで撮ると、見えなくていいところまで(笑)よく見えます
m0026.jpg


翌18日のことは、また今度書きます!
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スパイラル2
2009.07.02 (Thu)
スパイラル1を読む


今までの発想を180度転換して、病気になってから治す のではなく、 病気にならないようにする というのが現在の歯科医学の基本になっています。


病気になってから治すのでは、必ず歯を削ったり、歯を抜いたり、人工の物で補ったりしなければいけません。

どれほど上手に治しても、天然の健康な歯より優れたものは作れません。

治療をすればするほど、徐々に歯は弱く、病気にかかりやすい状態になっていきます。

病気、治療、病気、治療。この繰り返しがずっと続くことになってしまいます。


今までの研究で、ほとんどの歯の病気は予防できることがわかってきました。

虫歯予防をきちんと行えば、カリエスフリー(一本も虫歯がない状態)は難しくありません。

歯周病予防についても、よほど体質的に歯周病になりやすい方でない限り、歯周病と全く無縁で生涯を終えることができます。

つまり、虫歯や歯周病といった歯の病気は、本来は「珍しい病気」であり、通常ほとんどは予防できるということです。


ではなぜ、現状の日本では歯の病気の予防が進んでいないのか?

スパイラル(悪循環)にはまって、どんどん歯を失うことになるのか?

これにはいろいろな理由があると思いますが、一番は「歯の病気の予防法」が広く国民に知られていないことだと思います。


歯磨きが大事であること

歯医者さんで定期健診をすること

これらが予防に大切だということは、ほとんどの方がご存知だと思います。

けれど、実際に「正しい歯の磨き方」「定期健診で何をどうするのか」をご存知の方は少ないと思います。


つづく
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スパイラル1
2009.05.21 (Thu)
スパイラルというのは渦巻きのことだそうです。デフレスパイラルとか、経済で使われる時はあまり良くないイメージの言葉ですね。

お口の中のことでも、「負の連鎖」とか「悪循環」と呼ばれるようなことがあります。

というより、今まで僕ら全員が悪循環に陥っていたとも言えるかもしれません。


人間には大人の歯が32本あります。

そのうち4本は親知らずなので、28本しか生えてこない方も多いと思います。

さて、30本近い歯があるうち、80歳まで残るのは何本ぐらいでしょうか?

2005年の調査では、80歳で残っている歯は平均で10本程度だそうです。

あとの20本は、虫歯か、歯周病か、その他の病気で無くなってしまったということですね。


以前は「年をとれば歯がなくなるのは当たり前」と考えられていました。

「お年寄りになれば入れ歯を使うのが当たり前」だったのです。

しかし、最近の学問の進歩により、「実は虫歯や歯周病は、簡単に予防できる病気なのではないか?」という説が出てきて、現在はそれが常識になりつつあります。

つまり、正しい予防法が広まっていなかったために、多くの人が無駄に歯をダメにしていた可能性があるのです。


かつて、歯医者さんの仕事は、「歯の痛みをとる」「歯を入れる」というのがメインでした。

虫歯があればそれを削り、歯周病の歯を抜き、入れ歯を作って噛めるようにする。それが歯医者の使命でした。

しかし、歯は治療すれば治療するほど、削れば削るほど、大きな入れ歯を入れれば入れるほど、弱くなってしまいます。

どんな名医が治しても、天然の歯より優れた歯を作ることはできません。

つまり、治療をした歯は必ず病気にかかりやすくなるのです。

病気、治療、病気、治療。

総入れ歯になるまで終わることがない、まさに悪循環でした。


つづきを読む(7/3に公開予定です)
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歯周病、がんのリスクが高まる可能性
2008.05.29 (Thu)

歯周病、がんのリスクが高まる可能性=研究
5月28日16時52分配信 ロイター

 [シカゴ 27日 ロイター] 歯周病によりがんのリスクが高まる可能性があるとの研究結果が27日明らかになった。インペリアル・カレッジ・ロンドンのドミニク・ミショー博士らが専門誌に発表した。
 歯周病歴のある男性医療専門家を対象にした長期研究で、がんを患う可能性が全体的に14%高いことが判明した。論文では「喫煙その他のリスク要因を考慮した上でも、歯周病は肺や腎臓、すい臓、血液のがんのリスク増大と大きな関連性があった」としている。
 これまでの研究では、歯周病で心臓病や糖尿病の発生リスクが高まる可能性が示されていた。



歯周病と心臓病、糖尿病、早産など、歯周病は全身に大きな影響を与えることが分かっています。

今回は歯周病と「がん」に関連があるかもしれないという話題です。

ただ、こういう研究は解釈を慎重にしなければいけない場合も多いので、すぐに歯周病→がん、ということは言えません。
(複数の研究で同じような結果がでると信頼性はグッと高くなると思います)。


歯周病にかかると、歯磨きや物を噛んだとき歯ぐきから血が出ますが、これは歯周病によって血管が破れるということです。
つまり、歯周病の病原菌が血管の中へ入り込んでいく可能性があるわけですね。

ほとんどの細菌は、体の中に入ってもすぐに免疫機構によって排除されるでしょうが、なかには全身をまわって居心地の良いところに住み着くような奴もいます。

「たかが歯周病」だと思っていたら、体中がおかしくなっていた、というのはこういう理由によります。

想像しただけで怖いです。


歯周病は、軽度のうちなら歯医者さんで治ります(重度になったら歯を抜くしか治療法がありません)。
でも、実際は重度にならないと気がつかないんです。
痛みも、歯のグラグラも、そうとう病気が進まないと自覚できません。

歯ぐきからの出血や、口のニオイ(口臭)などの初期症状だけでは、「たいしたことないだろう」と思ってしまう方がほとんどですよね。

だいたい、歯医者さんに行くこと自体いやなのに、自覚症状がない状態では治療になんか行きたかありません。

その気持ちは良く分かります。(歯医者の僕だって治療を受けるのはイヤです!)

ご近所の方と話していたら、「あの治療台に乗っただけで震えがくる」という方もいらっしゃいました。

ここまで来ると完全にトラウマですね。


ただ、そういう方にこそ早めの来院と歯周病予防をお勧めしたいと思うのです。

繰り返しになりますが、歯周病は重度になる前なら、治ります。

定期的なメインテナンス(予防管理)をしていけば、歯周病の再発の可能性も減らせます。

怖い治療を受けないためにも、予防が大事だと思うのです。


歯の治療のためにお金と時間を使うのは、大きな損です。

痛くなるまでガマンする→歯を削って詰める→また痛くなるまでガマン→被せ物をする→また悪くなる→神経を取る→グラグラしてきた→歯を抜く→噛めない→ブリッジにする→他の歯が抜ける→入れ歯にする→他の歯が悪くなる→総入歯にする→歯ぐきが痩せる→入れ歯を作りかえる

これでは終わりがありません。しかも最後には歯が一本も残っていません。

お正月のお餅も、アワビもサザエも食べられないかもしれません。

食べる楽しみがない人生なんて・・・。

「歯は大事だ」と、入れ歯の方ほどよくおっしゃいます。「歯がなくなって、はじめてつらさが分かった」とも。


残念ながら、歯の病気を患者さん個人の努力だけで予防することはできません。

完璧に歯が磨ける人などいないからです。そして、複雑な構造をした口の中をすみずみまで綺麗にできる歯ブラシも存在しません。

そのために歯医者さんがいます。歯医者さんでは、歯垢の染め出しや、専門の機械を使う歯の徹底的なお掃除を誰でも受けられます。

人によって違いますが、普通は年に3回か4回メインテナンスを受ければ、病気になる可能性をずっと少なくできます。
そのために必要な時間は、年4時間ぐらいのものです。
治療のために通うのとは比較にならないぐらい時間とお金の節約になります。
しかも、歯は削られもせず、健康なままです。

治療より予防のために歯医者さんへ定期的に行く。
病気になってから治すより、病気にならない。これが一番自然で健康な姿だと思います。

歯周病になるとがんが増えるかどうかはまだ分かりませんが、歯周病にならなければそんなこと心配する必要もありません。
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新潟県は優秀!
2007.05.17 (Thu)
【新潟日報2007年5月16日 より引用】

県内の子どもの虫歯数は最少

 県は15日、本県の12歳児の平均虫歯数が2006年度に全国最少の0・99本となったと発表した。1本も虫歯がなかったのは、ほぼ3人に2人に相当する62%に上った。県は「学校などでフッ素洗口を進めてきた効果が大きい」と話している。

 虫歯数の統計では、永久歯がほぼ生えそろう12歳児(中学1年生)の数字が代表的な指標。2006年度調査によると、本県の12歳児計約2万3700人に対し、虫歯数は治療済みを含め計約2万3300本だった。全国最少となったのは7年連続。

 虫歯予防のため、県はフッ素液を使ったうがいに取り組むよう、1970年度から幼稚園や小中学校に促してきた。

 予防策が奏功し、12歳児の虫歯数は1980年度の5・03本から年々減少。県や国は2010年度までの達成目標を1本としたが、本県では前倒しで目標を達成した。

 2006年度の県内の「フッ素うがい」の実施率は、全国平均より約10倍い高34・4%。県は「実施率40%を目標に、一層の推進に努めたい」(健康対策課)としており、本年度から県内の全養護教諭を対象とした研修会を開始。虫歯予防とともに、子どもの歯周病の予防にも力を入れる考えだ。

【引用ここまで】


新潟県はフッ素洗口などに積極的で、他の地域より虫歯が少ない県です。
これは子供の健康にとって非常に誇らしいことだと思います。

記事にもあるように、虫歯が一本もない子供はいまのところ62%だそうです。
しかし、本当は90%の子供を、虫歯ゼロにできると言われています。

新潟県の現状は、他の地域と比べれば素晴らしいが、まだまだ改善できる余地があるということです。

では、90%虫歯ゼロを達成するためにはどうしたらいいのでしょうか?

答えはすでに科学的に証明されています。

歯科医院でのメインテナンス(予防管理)です。

子供は、一人一人虫歯のなりやすさ(リスク)が違います。
それに応じて、虫歯予防の方法も変わってくるのが当然です。
歯科医院でまず虫歯のなりやすさを調べ、それをもとに予防していくのがとても効果的なのです。

虫歯になりやすい子供は月一回、なりにくい子は半年に一回、定期的に歯科医院に通って、予防のためのケアを受けます。

ケアの内容は、基本的には歯の清掃、フッ素の塗布、シーラント、歯みがき指導、食生活指導などです。
歯を削ったりすることは極力しません。
たとえ虫歯があっても、初期のものであれば、予防処置で様子を見ます。
歯を削ることで、より大きい虫歯を起こしやすくなってしまうという、われわれ歯医者にとって苦い教訓があるからです。

もちろん、大きな虫歯は削らなければいけないのですが・・・
だからこそ、早いうちから定期的に歯医者さんへ通うことが重要だと思います。

子供のころからメインテナンス(予防管理)をしている子供さんは、歯医者さんを怖がりません。
痛い思いをすることはない、と知っているからです。
虫歯ができたら歯医者さんへ行く、という子供はほとんど歯医者嫌いです。
歯を削られたり痛い思いをするのは大人だって嫌ですよね。

定期的に歯医者さんへ通うと、まず子供たちの口から虫歯が減ります。
自分で歯磨きをするようになります。
甘いものも自分から控えるようになります。
そして、虫歯がない大人になり、健康な人生が始まります。
(少し大げさかもしれませんが)

目標は、90%の子供が虫歯ゼロになることです。
そして、それは必ず達成できることなのです。

・・・虫歯がなくなると困るのは、歯医者さんかもしれません。
なにしろ、虫歯を治療してお金をもらうのが仕事ですから・・・

でも、虫歯が多くなってたくさんお金を稼ぐより、虫歯が少なくなって質素に暮らしたほうが、僕ら歯医者は精神的に幸せになれるように思います。
【記事編集】 |  11:58 |  歯を守り育てる  | コメント(0) | Top↑